あなたのかかりつけ薬局に
株式会社ザグザグは、岡山県岡山市に本社があり、調剤薬局、調剤薬局併設ドラッグストア、介護施設の経営、また、自社サイトをはじめ、複数のモールカートで通販ショップを運営している。 ユニークな会社名の由来は、ラテン語で「一方向に進む」という意味の「ザグ」を重ね、「ひとつの方向にだけでなく、物事にとらわれないで自由に進もう」という気持ちが込められているという。通販部には、出荷数の多い朝、他チームからも自然とスタッフが応援にきたり、忙しい中でも互いに声を掛け合う文化がある。今回受賞した寺中さんは、そんな通販部の梱包・出荷業務のリーダーで、ザグザグにパートナー(パート)として入社して今年で14年目のベテランスタッフ。的確な指示でチームをまとめながら、自らも圧倒的なスピードで出荷業務を行う、まさにザ・バックヤードだ。
「誰も勝てない鉄人」
寺中さんは岡山県出身で、結婚後、福岡県に移り、建設資材を扱う会社で事務として勤めた。その後、岡山県に戻ることになり、ザグザグに応募。家から職場が近いことと、ザグザグのキャラクターが可愛く、身近に感じられたのが良かったという。応募時に事務を希望したが、配属されたのは通販部の梱包・発送部門だった。 「元々通販で働きたいと思っていたわけではなくて、ザグザグで働きたいなというのがあって。岡山出身なので、お買い物もしていたし、お店の雰囲気も身近に感じていたので。それで、事務で応募したんですよ。で、入ってみたら梱包で、あれ?って(笑)でも、楽しいし、あっという間に時間が経つし、デスクワークするよりは良かったのかな、と。当時は今と違って検品用のハンディもないし、受注管理から発送まで手書きで、一つひとつ目で確認して。だからどうしてもミスが多かったです。その頃の原始的なやり方を知っているのは今では私だけなんです(笑)」
梱包から出荷までの業務は、スピードを求められる一方で、発送ミスがないようにと神経を使う。寺中さんが入社した当時は、ほとんど全ての作業をアナログで行う日々で、その苦労は想像に難くない。それまでデスクワークの経験しかなかった寺中さんだが、業務内容にそれほど抵抗はなかったそうだ。与えられた環境でどの職場でも長く働いてきたという寺中さんは、以来13年間、梱包・発送業務一筋で日々腕を磨いてきた。今ではその速さに勝てる人は誰もいないという。以前、寺中さんが2週間入院したことがあり、社員2名でその穴を埋めようとしたが、埋められなかった。
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実際に寺中さんの作業の様子を取材した
出荷数の多い週明けの朝は、時間との戦いだ。ピッキングリストが上がり次第、チームで手分けしてピッキングから発送までの準備を行う。医薬品などが商品のため、誤発送などミスのないように丁寧な対応をする一方で、「明日届けて欲しい」という要望にもきっちりと応えたい。寺中さんは、この矛盾を解決するべく、どうすれば無駄を省けるのかを考え、現場の生の声として社員へ環境改善を図るよう提言してきた。たとえば、ピッキングの際に、ベテランスタッフだけが分かるような複雑な商品配置だった棚を、誰がピッキングをしてもスムーズに対応できるよう、ロケーションごとに番号をつけて商品棚の配置替えをした。それによって、商品を探す時間が大幅に短縮され、作業スピードを底上げすることができた。先にも書いたように、寺中さんは、超人的なスピードで出荷業務を行う。
しかし、寺中さんのすごいところは、それだけではない。手を動かしながら、常に周りを見て、今、どこが手薄で困っているのか、どこで作業が停滞しそうなのかを把握し、先回りをして的確に指示を出す。その指示には迷いがなく、他チームから応援で来たスタッフの守備位置も瞬時に決めていく。それはまるで一種のスポーツを見ているかのようだ。制限時間までにタスクを完了させるためには、チームがひとつの生命体となって一致団結しなくてはいけない。そのために適材適所、一人一人の適性を見極めて、舵を切る。
寺中さんが入社した当時と比べ、作業効率は上がっているものの、それ以上に出荷数も格段に増えた。毎朝、出荷までの時間に追われ、また体力的にもきつい業務だが、十数年経った今でも、毎日仕事が「楽しい」という。モチベーションを高く保ちながらチームを牽引し続ける、そのパッションとエネルギーは一体どこからくるのか?
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「その先に喜びがあるから」
「私、テニスで全国優勝してるんです、中学のソフトテニスで。過去の栄光ではありますけど。そういうのがやっぱりあると思います。周りが見えるとか、テニスで培ったものは活かされているように思いますね。瞬時に状況判断をしないといけなかったり。社会人になっても、結婚するぐらいまでは全国大会へ行ったりと、ずっとやってたんです。テニスって、しんどいんですよね。でも、やっぱり決めた時の喜びなんですよね。勝つために必要なことは、努力もあるし、ピンチの中で諦めない気持ちというか。だから、決めた時の喜びが大きくて、飛び上がって喜んでいました。そういう意味では、苦しい先に達成感があるというのを、知っているんだと思います。どんな辛いことも無駄じゃないですよね!」
辛く苦しいことがあっても、そこを乗り越えた先には必ず喜びがある。そのことを寺中さんはスポーツを通じて体験していた。一時期、通販部はスタッフ不足で大変な時期があった。毎日1000件を超える発送業務を、少ない時は3名で対応していたという。寺中さんは、働く意味を考え悩んだこともあったが、最終的にはザグザグに留まった。
「やっぱり通販のために、頑張ろうかなって。『寺中さんがいないと』と社員の方が言ってくれるから。翌日発送というのは大変なんですけど、お客様に喜んでいただけると、頑張ってよかったなって、やりがいを感じます。『翌日に届いて嬉しかったです』と、レビューに書いていただいたり。そういう声を聞くと、こちらも嬉しくなりますね」
「鉄人の素顔」
長年の寺中さんの仕事ぶりについて、一緒に働くみなさんはこう語る。
田村 「すごい指示出してくれますよね。パートさんでここまでしてくださる方はいないんですよ。常に見てくれているので、誰か来たらすぐここに、と。寺中さんがいないと、回らないです。お仕事への姿勢も常に全力で、パートだからとか関係なく。で、とにかくスピードが速い。“ポスト寺中”を育てようといつも言うんですが、難しいですね。とにかくザグザグの通販のために、という想いでやってくださっています」
また、終日働いて、みんなぐったりしだす時間帯でも、翌日の準備に一番動き回っているのは寺中さんなのだと、社員でリーダーの森田さんは言う。
森田 「彼女の場合は、そこまでやってくれていたのか、と。こちらの想像を上回るところまでやってくれていて。『無理しないでね』と言いたいです」
そんな鉄人のような寺中さんの素顔について訊いてみた。
田村 「家が近かったので、時々サザエとかいただいたり(笑)家を建てた時には趣味でされているドライフラワーのプレゼントまで。プライベートでもよくしてくださっています」
同僚の岡田さんは、5年前に入社し、寺中さんのリーダーシップにずっとついてきた。
岡田 「ストイックで頼り甲斐があって、困った時には寺中さんに聞けば大丈夫、という安心感があります。でも、今回、取材前に『寝られんかったらどうしよう』って。私にとっては姐さんみたいな存在ですが、可愛らしい一面もある人です」
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どこまでも追求
「どうすれば、昨日よりも早く、もっと正確に、さらに丁寧に届けられるか。スピードは、ハンディの持ち方でも違うし、見る視点や、伝票の破り方でも違うし。正確さでは、伝票は見なくていいんですよ。間違っていたらハンディが教えてくれるから。中身が破損したりしないように、ちゃんと梱包すること。丁寧さは、ガムテープが歪んでいると気持ち悪いので、真っ直ぐ留める。宅配だったら、角を折って貼るとか、お客様への配慮をしたり。再利用の段ボールを使っているときは、目隠しをして、再利用シールを貼るなどの心遣いをしたりとか。『スピード、丁寧さ、正確さ』を、これからも追求していきたいですね」
そんなストイックでアスリート気質の寺中さんに、今後について伺った。
「ここじゃ『元気だね!』と言われるんですけど、いつも家に帰ったら、バタンキューですよ。『ちょっと寝かせて』ってなっています。休みたいなーとか、家でダラダラして過ごしたいなーとか思うんですけどね。でも、やっぱり外で働くのが好きなんですよね(笑)私、還暦を迎えたので、目標は65歳まで働きたいなと思っていて、私は社員でもないし、ちょっとやりすぎなのかもしれないけど、リーダーとしてみんなと一緒に仲良くやっていきたいですね」
RECOMMENDER'S VOICE
梱包出荷業務のリーダー的存在であり、皆のお母さんのように面倒見の良い寺中さん。繁忙時やトラブル時でも冷静に判断と指示をしてくれていつも助かっています!これからも頼りにしていますので、お身体に気を付けて頑張ってくださいね!