ネクストスタンダード株式会社は、デザインサーフパンツを企画・輸入販売する会社として2008年に創業。2013年に「SAFS TOKYO」としてブランド展開を開始。2015年に店舗兼ショールームを東京都台東区に開いた。受賞した伴野さんは、ネクストスタンダードの代表取締役。今回、スタッフの総意で代表が推薦される異例のケースとなった。コロナ禍で業績が大幅に下がる中、会社の存続のために、バックヤード業務に挑み、汗を流した。その決断の背景には一体どんな想いがあったのか?
嵐を乗り切るために
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コロナ禍に入った2020年は、ステイホームが推奨され、レジャー業界はもとより水着業界もその煽りを大きく受けた。業績は悪化し、売上は前年比わずか10%となった。
伴野さんは、会社を立て直すまでの間、一部のスタッフに退職をしてもらう苦渋の決断をした。「絶対この状況が終わる時が来るから、また戻ってきてほしい」とスタッフに告げ、トータル3名での業務が始まった。
そこで、当時の社内では、社長である伴野さんといえども、バックヤード業務を担う必要があった。伴野さんが最初に取り組んだのは、受注業務だった。容易なことではなかったが、およそ4か月かけて受注業務全般を一人で行えるようになった。
その後も、伴野さんの挑戦は止まらない。受注管理の仕様を担当者から教わり、お客様の問い合わせにも対応するようになった。緊急事態宣言が出ていた時期には、たった一人で受注から発送までこなし、一日中汗を流した。この時間が、とても貴重だったという。
「苦戦はしましたけど地に足をつけて働いている感じがして、会社のスタートアップをもう一回体験しているような感じがありました。バックヤードに入ったことで、よりダイレクトにお客さんの求めているものが分かってきたり。パズルのピースのように、段々と絵が見えてきて、楽しかったです。自分がやることで、スタッフの一人ひとりの個性というか、みんなの存在の大きさを知ることができた」
嵐を乗り切るために始めたバックヤード業務が、本来のイキイキとした伴野さんらしさを呼び戻した。
成長と挫折
伴野さんは、大学卒業後、サラリーマンを経て、祖父が服飾の卸業を営む「株式会社伴野」に就職。そこで水着の輸入販売に携わった。その後独立して「ネクストスタンダード」を設立。 部長のサイさんとは、株式会社伴野で出会い、以後十数年、苦楽を共に過ごしてきた。
起業後、数年でEC事業は波に乗り、ビッグウェーブを体験した。スタッフもどんどん増えていったが、伴野さんのものづくりに対する想いや大切にしているものを共有できないまま、会社の成長と拡大だけが一人歩きしていく。
「いろんなバランスが取れなくなってしまって。結果的に、舵取りに失敗したことで、大勢のスタッフが辞めていった。そのことは、今でも毎日思い出します。なんでこうなっちゃったんだろうなって。経営者としての浅はかな部分がここに全部出たんじゃないかって、後悔しかなかった。コロナ禍でもスタッフが辞めることになり、俺はほんとにダメだなって。今いるメンバーは、自分が選んだんじゃないんです。残ってくれたメンバーなんです」
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もっと働きやすい会社に
2020年3月、突如としてやってきた激流によって会社はダメージを負った。にもかかわらず、「コロナはチャンスでしかなかった」と伴野さんは断言する。
コロナ禍に、少数で業務ができるようにと、徹底的に“やらないこと”を決めた。そのことで一日の業務時間を以前と比べて格段に短縮することができた。さらには、バックヤード業務を伴野さんができるようになったことで、スタッフの急な休みにも柔軟に対応できるように。子育て世代のママさんにとっても働きやすい環境に変わっていった。
「うちも子供が小さい頃は大変だったけど、スタッフの中には、お子さんがいて急に熱が出たりとか。どうしても休まなきゃいけないという時に、休んでもらっても同じ給料が出せるような会社にしたいな、と。僕が業務をひと通りできるようになったことで、いつでも休んでもらえるようになった。いつでもどこでも何でもする。それが、今の僕の仕事だと思っています」
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産休育休の仕組みを調べてくれて、居心地がいいように考え動いてくれてありがとうございます!あと、いつも「すごいじゃん!」とか「よく出来てるね」と言ってくれるのが嬉しいです!もっと頑張りたいと思います!社長が朝イチ笑顔でいてくれるのが一番いい!笑顔でいてください♪これからも一緒に会社を盛り上げていきましょう!
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「信用している」と言って、好きにやらせてもらってありがとうございます!社長が受注をしてくれるようになって、助かっています!みんなの幸せをいつも考えてくれてありがとうございます♪
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長い間、面倒を見ていただいてありがとう。お兄ちゃんのいいところは行動力があるところ!いろんなことがあったけど、これからもよろしくお願いします!
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私が産休でいなかった時に、お客さまの対応をしてくれてほんとに助かりました!15年間、ありがとうございます♪これからもよろしく、お世話になります!
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コロナ禍で大変だった時も、スタッフの前ではそれを見せないで、踏ん張ってくださりありがとうございます!長い付き合いですが、お互い笑顔でこれからも一緒に頑張りましょう!
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辛い時もそんな姿を見せず、夫として父として頑張ってくれていましたね。美味しいものがあれば、一緒に連れて行ってくれてありがとう。毎日美味しいビールが飲めるのは、ばんちゃんのおかげです。テレビの内容にツッコミをいれるのは程々にしてね(笑)これからも頑張ってください!
“ 帰っておいで ”
環境の変化に伴い、スタッフ同士の関係性にも良い影響が生まれた。誰かが休んだ時にその代わりを務め合うことで、普段当たり前に業務を行ってくれているスタッフの存在の大きさを実感するようになったという。それぞれの得意不得意が分かることで、個性が噛み合って成り立っているチームの強みを互いに知ることができた。
昨年、一人のスタッフが復職した。まだ小さいお子さんのケアや、家庭の事情でやむなくネクストスタンダードを離れたスタッフだった。ある日、とある場所で部長のサイさんが彼女と遭遇し、スタッフみんなと食事会に行くことになった。伴野さんもその場にいる中、彼女に「帰っておいでよ」とスタ ッフ全員から自然と声が上がった。彼女がやむなく退職をした時よりも、働きやすい環境があったからだ。この会社で働く誰もが「残りたい」と思えるような、そんな会社を作りたいと、伴野さんが、これまで一つひとつの選択を重ねてきた結果、その想いが形となり、確かにそこに実っていた。
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RECOMMENDER'S VOICE
いつまでもかっこいい社長でいてください!
支え、見守りながらも進み続ける社長がいるから生まれた環境。日々感謝しています。
いつもありがとうございます。ネクストさいこう~♪
1度退社した私を再度会社に受け入れて下さり感謝しかありません!これからもよろしくお願いします。
いつもありがとうございます。周りの人に気を配りながらも自ら色んな仕事に挑戦していく姿尊敬してます!