茅根 貴恵

着物なごみや 商品企画 / 株式会社なごみや

楽しむことを、あきらめないのは     
自分だけの為じゃないから。

株式会社なごみやは1911年(明治44年)創業の老舗染物屋。先代の小売業を経て、現在は四代目の松本成央代表取締役が、和装商品全般のオンライン販売を展開。2008年開店の「着物なごみや楽天市場店」をはじめ6店舗を展開している。レディースファッション部門で楽天ショップ・オブ・ザ・マンス獲得や、6度の月間優良ショップに選ばれるなど、ネットショップ業界でも目覚ましい成長を遂げている。「遊知美感」の精神的な豊かさの実現を標榜し、和の商品やサービスを幅広く提案することで、お客様に「なごみ」の気持ちを感じていただくことを理念として掲げている。そんな「なごみや」のプライベートブランドを開発する茅根さんが受賞となった。

彼女は引き留めないと

社長の松本さんは、茅根さんとの商品企画への挑戦をこう振り返る。

2008年、なごみやの出荷業務は、2DKの自宅から始まった。店舗の成長と共にスペースがなくなり自社倉庫を構えたが、そこもすぐ手狭になってしまう。

楽天出店から8年目を迎えた2016年、倉庫会社と契約し出荷業務の委託へと舵をきるが、その際スタッフの多くは会社を去ることになる。自社倉庫でピッキングや梱包業務のパートとして勤務していた茅根さんも同様に転職を考えていたが、松本さんが引き留めた。当時、松本さんは直感で茅根さんを慰留したが、後にこの判断が会社を救うことになる。

「仕事に対する責任感がずば抜けているというか、もう腹の括り方が違いましたから。『彼女は引き留めないと』と思いました」

出荷作業から受注業務、顧客対応とポジションを変更した茅根さん。持ち前の飲み込みの早さで、順調に仕事を覚えていった。ところが、2020年春頃より突如として注文が途絶えた。新型コロナウイルスの影響が直撃したアパレル業界。その中でも特に和装を扱うなごみやは、展示会や成人式などのイベント自粛や、外出機会の激減による煽りを受け窮地に陥った。

和装以外のオリジナル商品を作ろう

元々小売業から卸業、そしてメーカーになることを目指していた松本さんだが、オリジナル商品には苦い思い出があり、なかなか踏み出せずにいた。子供用の甚平を開発したものの、なかなか思うように売れず、完売に10年掛かった過去があったからだ。

しかし背に腹は代えられないほど、状況は逼迫していた。
「売れなくなっていた水着の生地を仕入れて、マスクを作ったんです。元々白色しか無かったのでカラーバリエーションを茅根と一緒になって考えて、ヒット商品に。それが商品企画の始まりでした」

OEMの水着マスクから始まった茅根さんと二人三脚の商品企画。そのヒットを皮切りに完全オリジナルでプライベートブランドを展開していった。だが、企画からプロモーションまで手探りで、うまくいかないこともあった。
「コロナの感染対策の時流に乗って、初めにタッチレスチャームをオリジナルで作ったんです。残念ながら売れ行きは伸び悩みましたが、モノづくりのプロセスなどメーカーとしての学びがありました」

教訓が活かされたことで、それ以降のオリジナル商品は全てヒットすることになる。なかでも浴衣生地を巾着にしたカゴバックは今やなごみやの定番となった。涼しげなカゴの網目から覗く、老舗メーカーの巾着が上品な大人のカゴバッグだ。この商品は企画からすべて茅根さんが手掛けている。受注業務の傍ら、商品企画のサポートを続け、いつしかデザインや問屋との交渉も任されるようになり、茅野さんを中心とした商品企画部隊が出来上がっていた。
「私にない発想を持っているんですよ。これほどオリジナル商品を作ってヒットさせ、コロナの難局を乗り越えられたのは、茅根のチャレンジ精神とモノづくりへの想いがあったから。そして何より楽しんで取り組んでいるからこそだと思っています」

初めて制作したタッチレスチャーム
アレンジ力で誕生した竹籠巾着バッグ
コロナ禍に制作し、ヒットしたオリジナル・フェイスカバー

楽しんで着ていただくために

松本さんが全幅の信頼を寄せる茅根さんに、商品企画への想いを語っていただいた。
「前職での経験もあったのですが、好きなんですよ、モノづくり。元々着物に興味はあったのですが、本格的にその文化に触れたのは入社後でした。私自身、着付けやしきたりに造詣が深いわけではないんです。ただ、色や柄の合わせ方なんかも『自分が着たいものを、楽しんで着るのがいい』というのが根底にあって。着る人を具体的に想像することで、本当に自分が好きなものを追い求めている人に響くような商品を作ることができればなと思っています。たとえ私の好みのテイストでなくても、『こういう雰囲気の人には似合いそうだな』という着用イメージは大事にして、色や柄を決める際も妥協しないようにしています」

市場では、コロナの影響で浴衣の製造自体が少なくなっていることもあり、現在はオリジナルの浴衣にチャレンジしているという。
「仕入れられる商品も少ないし、だったら作ってみようよと。企画している浴衣が主流の色柄ではないので、反応があるかどうかドキドキしています。ただ、他と同じようなものを出品するのではなく、なごみやのカラーを出していければなという想いがあって。その考えを松本がとても理解してくれて、『好きなようにやっていい』と任されているので、責任とやりがいを感じています」

伝統の吉祥紋柄が絶妙な大きさであしらわれ、ポップな色合いも相まって、遊び心溢れる浴衣に仕上がっている。茅根さんの商品のこだわりを語るトーンからも溢れるバイタリティが伝わってくる。
「楽天市場でお買い物される方はショップに来るというよりは、物を探して結果的に買っていただける方も多いので、ショップならではの個性的な商品と主流な商品とのバランスも大事だなと思っています」

想いだけではなく冷静さも忘れずにいた。実家が自営業ということもあり、クリエイターと商売人の両方の気質を理解し、併せ持っている。

カジュアルな和装でハツラツと働く茅根さん

妥協なきこだわりが、伝わっていくことを願って

「商品を作って購入いただいてお客様にお届けするまでの過程には、私が取り組んでいる企画という役割だけでなく、仕入れや写真撮影、ページ作成、出荷指示などいろんなスタッフが関わるんです。なるべく、皆がその役割を楽しめるものであった方がいいなと思っています。こだわって、楽しんで作られた商品でなければ、出品までの各過程の仕事も、気持ちよく取り組めないんじゃないかと。皆にもより興味を持ってもらえるように、『まず、自分が楽しんで』というのは心掛けています」

そのこだわりが起点となり、周囲のスタッフからなごみやに訪れるお客様に至るまで、少しでも多くの人に想いが伝わり、輪が広がるまで。茅根さんが楽しむことを、あきらめることはないだろう。

RECOMMENDER'S VOICE

勤続10周年、どうもありがとうございます。いつも、A型長女ならではの責任感と実行力でスタッフをリードするとともに、商品企画での才能まで発揮する姿に感服しております。これからも、なごみやファンの心をくすぐる商品・サービスの開発にご尽力いただけますよう、お願い申し上げます。

by 松本成央(代表取締役)

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楽しく、
ファッションのようにインテリアを。

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カスタマーサポートチーム

サンロック@インテリア / サンローズ株式会社

サンローズ株式会社は東海地区にの実店舗を展開する総合インテリア・カーテン・ファブリックメーカーだ。販売部門として運営する「サンロック@インテリア」は、遮光1級、防炎、デザイナーカーテンなど、常時数百種類の既成カーテンの中からお客様のライフスタイルに合ったカーテンを提案している。 受賞したカスタマーサポートチームは、受注業務から写真撮影も含めた商品ページの作成など業務範囲は実に広く、商品1点ごとにコンセプトに沿ったページを作り上げるなど、店舗の成長に大きく貢献。チームメンバーそれぞれに話を伺った。

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