検品梱包チーム

ミルクティー / 株式会社ミルクティー

その向こう側にいる人を     
想像して。

2024年に創業16年を迎える株式会社ミルクティーは、出産・育児を控える母親に向けてシンプルで快適な授乳服を提供している。柔らかい素材とスタイリッシュなデザインで、授乳期でもおしゃれを楽しめるのが特徴だ。
「妊娠・授乳期に起こる不便・大変なことを一緒に解決していきたい。願わくば、大きくなっていくお腹や授乳する喜びをミルクティーの服と共に感じていただければ」
こう想いを語る社長の金さん。自身の出産、育児経験が創業のきっかけとなった。
「当時、授乳服は市場にほとんどないうえに高かったため、一枚買うのに一週間迷い続けました。やっと手にした授乳服は、それまでの服とは比べ物にならないほど授乳がしやすく、おっぱいを出すのが嬉しくなりました。この便利で素晴らしい服が『もっと手ごろな価格になれば!』『妊娠前みたいにおしゃれが楽しくなるようなファッション性があれば!』こんな風に思っている人は私だけじゃないはず。そう考えたのがミルクティー開店のきっかけでした」

厳しい「品質基準」、高い「顧客満足」

ミルクティーでは多様な国からの輸入服を取り扱うが、その多くは韓国で製造・販売されている。韓国製の商品は検品基準が日本とは異なるため、日本製品と比較した場合、韓国では「良品」となるものでも日本では「不良品」と扱われることがある。
「お客様に安心してお買い物を楽しんで頂けるよう、ミルクティーでは取扱商品一つひとつの検品やお直しを、熟練した検品スタッフ及び縫製スタッフの手作業で行っております。また、糸の不始末や縫い目のずれなどは、できる限り当店でお直しした状態で出荷しております」

糸の始末が少し雑になっていないか、縫い目に若干のずれがないか、ボタンやモチーフなどの縫い付けが不十分ではないか…これらを仕入れ後に厳しい目線で検品し、外注企業に頼りがちな手直しまで徹底して自社で手掛けている。検品時にチェックする点や縫製の方法は、生地やデザインによって異なるため、マニュアル化が難しい業務だ。年々増加する傾向にあるアパレル業界の返品率だが、ミルクティーでは商品の不具合など自社都合での返品がほとんどない。

自社サイトや楽天店舗のレビューの多くは喜びの声に包まれ、ネットショップでありながら会社宛てに感謝のお便りが届くこともしばしば。そんなミルクティーのユーザー満足の屋台骨を支える検品・梱包チームがBACKYARDAWARD受賞となった。厳しい「品質基準」、高い「顧客満足」はいかにして育まれたのか。検品チーム、お直し・縫製チーム、おむつケーキ作成チームからなる、総勢20名のバックヤードチーム。そのスタッフの中から代表して、10年以上ミルクティーと共に歩んできたベテランスタッフに話を伺った。

検品チーム

大久保 「不具合がある箇所を見つけるには技術と経験が必要だと思います。縫い付けが甘くないか、汚れがないかなど細かいことに気付く人が向いているかなぁと」

商品ごとにデザインの異なる衣服の検品作業には技術力が必要だ。検品作業は各々の判断で不良箇所をチェックするが、新人とベテランで検品基準に差が出ないのだろうか。

大久保 「検品におけるチェックスキルの違いは、コミュニケーションしやすい環境を作って解決しています。声を掛け合って、とにかくすぐ相談もらえるように心がけて。雰囲気としてはあまり上下関係というのにこだわらない部活動のような感じですね。ただ、もっと根本的にみんなが検品基準を高くできている要因は、“自分が着る人の立場になって”チェックできていることだと思います」

機械ではできないことを

デザインによって縫製が違う商品を、裾や脇の下などを広げて1点ずつ360度チェックするため、機械で良・不良を判別するのは難しい。着用をイメージできる人間の目があってこそなせる技だ。

大久保 「自分の産後に授乳服を着たことは無かったんですけど、この仕事に就いて改めて『なんて妊婦さんとお母さんに優しい商品があるんだ』と感動しました。こんな便利なら使ってみたかったなと。妊婦の時や出産後は、子どもに付きっきりになって大変なんです。届いた商品の不具合で交換している暇も余裕もないんですよ。 なので『赤ちゃんが引っ張っても大丈夫かな』とか、『届いたらすぐに着たい人もいるだろうな』とか想像しながら検品しています」

また、梱包の前に全て手書きでメッセージを添えている。

大久保 「注文備考欄に『今週末のお宮参りに着ていく予定です』とか、お客様の具体的な状況が書かれていることもあったりするので、それに合わせて御祝いのメッセージを添えたりしています」

想いが伝わったお客様からは、メールやイラスト入りのメッセージカードが届くことも。良いことも改善点も日々共有されている。

想いを持って届ける

周囲とコミュニケーションを取りつつも、日々黙々と商品と向き合う立ち仕事。細部を詰めるとキリがない検品作業だが、高い品質基準を作り上げているその秘訣とは。

大久保 「元々真面目な性格ではあると思うんですが、やっぱり“着る人を想って”というのが一番ですね。『この服を着れて良かった』と思ってもらえるように、というのは常に考えています」

お直し・刺繍チーム

検品を終え、不具合のあった箇所の補修やロゴの縫い付けなどを担当する「お直し・刺繍チーム」。汚れ落とし、縫製不良、各ネーム付けなど補修に対応している。品質基準を満たし、顧客満足の根幹を支える仕事だ。担当する須藤さんは、元々IT関係のデスクワークからのジョブチェンジだが、丁寧な仕事ぶりに周囲からの信頼も厚い。

須藤 「伝票は何千件とありますが、お客様にとっては大切な一着なので、どんなに忙しい時でも一つひとつ丁寧に仕上げるよう心掛けて、“いってらっしゃい”の気持ちを込めてお届けしています。検品チームとは密にコミュニケーションを取り合って。チェックする時の注意点などマニュアル化することも考えたのですが、同じデザインでも生地によって違いがあったりするんです。みんなで話し合って情報共有しているからこそ、品質基準が保たれているんだと思います」

検品チームから日々感謝の声が上がる仕事ぶり。「須藤さんならなんとかしてくれる」と頼られる存在となっている。

須藤 「素早く綺麗に直して検品チームに戻すと喜んでもらえるので。『ありがとう』の言葉は次も頑張るモチベーションに繋がっています。感謝の言葉を言い合える環境にあることも、良い商品を届けられる要因かなと思います」

「自分の色を出さない」が自分らしさ

「大切な人のために選んだモノだからこそ特別な刺繍をして心を込めて贈りたい」そんな想いから刺繍サービスも展開している。デザインデータから刺繍を施す工程は、業務用ミシンとパソコンを繋ぐなど、ITに知見のある須藤さんがいたからこそ実現した。

須藤 「細かいご要望もお客様の想いがあって、この刺繍デザインがなされたのかなと想像すると簡素にしたくなくて。なるべくその想いに寄り添って作っていきたいと思います。刺繍の縫い付けは、『自分の色を出さない』ことが自分らしさなのかなと。40個ロゴの縫い付けの依頼があればデザイン通り、40個同じものを作る。それが“わたしクオリティー”なんです」

おむつケーキチーム 心からのおめでとうを込めて

ミルクティーでの出産祝いギフトで販売数第一位を誇るおむつケーキ。丁寧な梱包はもちろん、おむつやケーキにあしらうタオルが一覧で分かるカードが同封されるなど、贈り手と受け手の気持ちを考え、細部にまでこだわって作られている。また、可愛いだけでなく気品にあふれ、落ち着きのあるデザインも人気の理由だ。

堀江 「一日に数十個作ることもありますので、スピードを求められるのはもちろんなんですが、やっぱり自分が納得したものでないと出したくないというか。贈る人ともらう人の立場に立ち、自分が貰って嬉しいものを届けたいなと思っています」

その想いは自然と完成水準の高さに反映される。

堀江 「私は作り始めて6年以上になりますが、未だに『ここはこうすれば…』と案が浮かぶので、終わりがないというか。もう何百台と作ってきましたが、もっと良いものがあるんじゃないかと工夫できるのが楽しいです。とはいえ、お届け日もありますし、高い評価をいただけている商品でもありますので、もっと速くもっと綺麗にと常に思っています」

商品を贈る人、贈られる人のことを想い、一つひとつお祝いの気持ちを込めて作る。堀江さんの、おむつケーキへの探求は終わりがない。
悪天候でも始業30分前には必ず出勤し、実直にお仕事に向き合う城石さん。お清掃もとても丁寧で、城石さんの通った後が分かるほどだそうだ。

その向こう側にいる人を想像して

ミルクティーは社長を筆頭に子育てを経験している人が多く、気兼ねなく状況を伝えあって勤務を調整できる環境にある。

城石 「元々接客業をしていましたが、台風でも風邪でも休むのがご法度という環境でした。子どもを授かったこともあり、より働きやすい環境を求めていましたが、当時はまだ社会的に子育てしながら働くことに寛容ではなかったんです。もう10件以上断られていました。そんな中ミルクティーを求人情報で見つけて飛び込みました。初めの面接の時から自身の状況に寄り添っていただいて、とても感動したのを覚えています」

自身の状況に寄り添ってもらえる職場に感謝し、お客様はもちろんスタッフに対しても貢献したいという想いが常にある。周囲に対して細やかな気遣いが行き届いている二人が作成するおむつケーキは、一つひとつ丁寧に包まれ、可愛らしくも清々しく、気品のある仕上がりとなっている。

堀江 「黙々と作っていく中で、お渡しする人やその周りにいる方々を想い、自分もお祝いの輪に関わっているような気分になれることを幸せに思います」

お客様を想い、コミュニケーションを取りながら改善を重ね、ミルクティーの検品梱包チームの「品質基準」は出来上がった。その上で、個々の判断と主体性を持った取り組みがの風土文化となり、「本当に良いものをこだわって作り、正直な価格で販売したい」という創業からの想いへと繋がっている。

RECOMMENDER'S VOICE

受賞おめでとう!来る日も来る日も早朝から日暮れまでコツコツとひたむきにお仕事をしてくれてる姿は、いつも私を心強くしてくれます。無茶で急な方向転換、商材の増加など色々あっても、何とか自分たちなりにそれを実現できるように頭を使い、体を使い、進んでいく姿、本当かっこいいです。私も含め皆それなりに歳をとってきましたね。さらに熟練の技と知恵を磨き、一緒に考えて、私たちのミルクティーを作っていってほしいです。

by 金 美里(代表取締役)

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