近藤 奎太朗

こめたつ / 有限会社農産ベストパートナー

I’m Hungry!

一粒一粒想いをこめて

有限会社農産ベストパートナーは、熊本県山鹿市に工場とオフィスを構え、ネットショップ「こめたつ」を運営。大自然の恵みのど真ん中で、田んぼの土壌・水・寒暖差などにこだわり、お米マイスターが選び抜いたお米を地元山鹿市を中心に、特別栽培米・自然農法米など九州の安心安全なお米を全国に届けている。今回受賞した近藤さんは、最年少でありながらお米の生産工場の工場長として日々汗を流している。穏やかで物腰の柔らかい好青年の近藤さんだが、代表の淵上社長が「負ける」と言うほどの根性と体力があるという。人並外れた仕事への原動力は一体どこから来るのだろうか?

いただいた出会い

こめたつは、お米の出荷業務を楽天スーパーロジスティックス(RSL)に委託しており、社内のバックヤードでは、受注・カスタマー対応、工場での生産部門が主な業務となっている。近藤さんは、農産ベストパートナーに入社して5年になるが、冒頭にも触れたとおり、最年少でありながら工場長として、こめたつの顔ともいうべきお米の生産管理を任されている。さらには、同社の運営する障害者施設や、オートミールやナッツなどの商品をメール便で配送する部署などを含めると、実質名程のスタッフを管理する。
今では必要不可欠な存在となっている近藤さんだが、こめたつに入社することになったきっかけは、決して良いものではなかったという。前職は運送業だったが、少々複雑な事情により辞めることに。新しい職場は「自転車で通勤できる距離」というのが条件だった。その条件に当てはまったのが、「こめたつ」だった。当時の上司だった方が近藤さんのために嘆願し、条件付きでの採用となった。「最低年は正社員にできない」これが、会社が提示した条件だった。夏は悶えるような暑さの中、冬は寒さに震える工場勤務で、時期がくれば辞めようとも思っていたという。しかし、近藤さんは、会社を辞めることなく働き続け、最年少で品質の要である工場を任されるようにまでなった。その背景には、近藤さんを支えた、ある言葉があったと言う。

腐るなよ

「腐るなよ。腐ったらそこで終わってしまうから」前職の上司の方が、近藤さんに最後に贈った言葉だ。しばらくして、淵上社長にもどん底の時期があり、同じような言葉に支えられて乗り越えてきたことを知った。
「自分も腐らず、コツコツやろう」
近藤さんは愚直に働き続けた。その結果、入社当初の条件を跳ね退け、一年目で正社員として登用。さらには、その働きぶりと真面目さが評価され、間もなく最年少工場長となった。近藤さんの業務へ注ぐエネルギーは誰にも負けないものがあった。その根性と体力には、淵上社長も「完敗」だという。時代は効率化とともに業務の負荷を軽減し、“仕事人間”という言葉が過去のものとなりつつある中で、近藤さんはまるで時代に逆行するかのように働き続けた。

淵上社長 「明日の分の生産が終わっているのに、近藤は明後日の分までいくんです。時には徹夜を繰り返すこともあって、深夜2時とか3時くらいになると、自分はさすがに先に帰るんですが。で、朝来たら、いるんですよね。まだやってたんか、と。とにかく体力がすごいし、根性がえげつない。そこは絶対勝てないです(笑)」

近藤 「社長が決めたなら、徹夜をしてでもそれを実現したい。100t出すといえば、必ず出し切る。自分が恩返しできるのは、ここしかないと思っていますし、それが自分の働くモチベーションになっています」

近藤さんは、社長が決めたことについては、一人ででもそれを成し遂げようと思っているのだという。

季節や天候によって精米の加減を見極める
冷めてもおいしい、熊本でしか作れない特別栽培米「森のくまさん」

工場長としての覚悟

こめたつブランドの特徴の一つ、それは「精米」だ。お米は精米した日から酸化が始まり、徐々に味が落ちていくため、なるべく出荷日直前に精米を行っている。自社工場で精米を行うこだわりには、もう一つの理由がある。お米は、削れば削るほど栄養素はなくなる。こめたつは、旨みと栄養価の高いお米を提供したいという想いで、米粒の胚芽をなるべく残すようにしている。ただ、残しすぎてしまうとお米が黄色くなってしまい、時にはクレームに繋がる。たとえば寒い朝はお米が硬くて削りが甘くなるので、残しすぎず、削りすぎず、とギリギリのラインを攻めているという。一粒一粒、想いをこめて、見極めを大切にしている。
工場長の責務は、生産ラインを止めず、納期を守り、品質を守ること。そして何よりも、大切なスタッフを守り、働きやすい環境を作ることだと、真面目に実直に心がけてきた。時には、孫ほど年齢が離れた近藤さんから注意されることに対して、納得のいかないシニア世代のスタッフとの衝突もあった。しかし、会社に貢献しているスタッフを守りたい。その一心で、問題と向き合い、その都度解決してきた。精神的にもかなりストレスを覚えたが、社長が近藤さんを信じ、「やりたいようにやったらいい、俺がいるから大丈夫だよ」と言ってくれた。決して器用ではないという近藤さんは、言うことを全部メモして、一語一句間違えないように、伝え方にも気をつけて、丁寧にコミュニケーションを図っていった。

山本 「近藤さんは、間違いや失敗を認める人。『こうしたい』と彼がアイデアを持ってきた時に、こちらが違う意見を伝えると、一旦立ち止まって、考えてくれる。上の声も下の声も聞ける人なんです。どんどん上に上がっていってほしい!」

 「カスタマーでイレギュラーな対応を求められた時に、相談したらいつも『大丈夫ですよ』と言ってくれる。飄々としていて、波がないんですね。だから、気兼ねなく相談できるし、とても助かっています。同時に、みんなが『助けたい』と思う人」

苦手がプラスになっている

淵上社長は、近藤さんの本質を評価している。それは、人並外れた根性や体力といった近藤さんの得意な点ではなかった。

淵上社長 「不器用なところとか、いい意味で要領が悪い。コミュ力が高い人がいるが、そういうタイプだと、表面でやってしまう傾向があるかなと。私もそうなんですけど、不器用な人間っていうのは、追求しないと勝てないから、上っ面のところで勝負していない。言葉数は少ないけど、本質のところで勝負していく。近藤もそういうところがあると思っています。工場長となった今、彼がスタッフの困りごと、問題点をちゃんと聞いてくれているので、私のところまで問題が来る前に解決してくれてると感じています。まだまだ世の中を知らないところはあるけれど、彼の武器は、嘘がなく、真面目で正直であること。コミュニケーションも苦手だからこそ、表面上の関係性ではなくて、そこを磨いていってるからこその、嘘のない繋がりが生まれている。そういう意味で、苦手がプラスになっていると思います」

左から、淵上社長、近藤さん、淵上芳巳さん
米そのものの旨味がぎゅっと詰まっている

恩を忘れず、自分に素直に

仕事に向き合う原動力は一体どこにあるのか? その質問に、近藤さんは驚くほど躊躇なく「お金持ちになりたいので」と答えた。ボランティアではないのだから、誰だってお金のために働いている。しかしここまで爽やかに口にできる人は少ないのではないだろうか。ではなぜ、お金持ちになりたいのか?

近藤 「個人的なことで言うと、親にも色々迷惑をかけてきたので、恩返しというか、そういう思いもあります。あと、選択肢はお金で買える、と思っていて。両親から『行きたい学校を自分で選びなさい』と言われていたこともあり、将来家庭を持って子供ができた時には、それなりに良い暮らしをさせてあげたいし、選択肢は多い方がいいだろうなと。そのために自分がお仕事を頑張ることが、結果的には会社の利益にも繋がっていくと思っていますし。あの時、車の免許もない男を受け入れてくれた社長に、いつの日か恩返しになれば」

工場長としての役割を全うし、会社の利益を生むことと、お金持ちになることは、真っ直ぐに繋がっていた。
自分の成長はもとより、それが会社の利益にもつながり、社員や家族の幸せにつながっていくと信じている。飄々と淡々と、365日、いつも変わらない温度感でこめたつの安定した生産部門を担っていたのは、ひたむきで嘘のない、近藤さんのハングリー精神だった。

RECOMMENDER'S VOICE

作業の効率化や取引先との連携、ひたむきに働く背中を見て、周りもまた頑張ろうと思えるいい連鎖になっています。工場長として頑張る近藤さんにこの賞を贈ります!これからも良い連携プレイができるように、よろしくお願いします。おめでとう!くれぐれも体調にはお気をつけて。

by チーム一同

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こころでプレーする。
これからもみんなと。

こころでプレーする。
これからもみんなと。

宮下 優歌子

SILVER BULLET / 株式会社ピー・ビー・アイ

2005年にオープンし、二度の楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーを受賞したSILVER BULLET楽天市場店。 運営する株式会社ピー・ビー・アイは、EC業界黎明期の2000年代前半に設立された。レディースセレクトショップ「Dita」や渋谷の109メンズにリアル店舗を出店するなどアパレル事業を展開。受賞した宮下さんは、入社7年目のバックヤードスタッフ。元々ビー・コルセアーズのファンで、試合会場でのボランティアに携わっていたが、その仕事ぶりや熱意かが伝わり入社することに。面倒見が良く、チームの精神的支柱である。

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