カスタマーサポート部門

鞄工房山本 / 株式会社鞄工房山本

愛着をみる。こどもが人生ではじめて、
自分で決めた相棒だから。

鞄工房山本は、戦後間もない1949年、鞄製造業として創業。ランドセル事業では、一枚の革選びから始まる数百もの製造工程を奈良の自社工房で手がけている。現在は鞄事業「香久山鞄」や農業事業「藤原京菜園」といった複数のブランドを展開し、変わりゆく時代の中で新しい技術を取り入れながらも、創業のときから変わらない丁寧なものづくりを守り続けている。製造から販売、修理まで一貫した体制を提供する鞄工房山本を、バックヤードから支えているカスタマーサポート部門がアワードを受賞。チームの皆さんに話を聞いた。

自分たちで変えていける

カスタマーサポート部門を率いている森さんが、チーム運営で大事にしているのは「変えられるところはどんどん変えていく」ことである。そのためにも、メンバーには、作業や対応で気づいたことはどんどん言ってもらえるようにしているという。例えば、ランドセルの修理で発生する工房とのコミュニケーションでは、当初、部署や人を経由して確認する流れとなっていて、確認に時間がかかる場面も多かった。そこで、各修理箇所ごとに責任者を立ててもらい、確認や相談を直接行えるように社内の体制を変更したことで対応が早くなり、内容の間違いも減らすことができた。このような体験から、「自分たちで変えていける」というチームの雰囲気や、日々の業務の中で「より良くしよう」という意識が生まれ、各メンバーの自主的な取り組みが増えている。さらには、現場を起点に変えていくこの取り組みによって効率化が進み、生まれた時間をお客様対応へ充てる、といった好循環にも繋がっている。

自主性に合わせて任せる

森さんにチームのことを聞くと、「みんなに任せてます!」「みんなベテランですから!」と迷いなく答える。森さんの言う「ベテラン」とは、単に勤務年数の経過したスタッフのことを表現しているのではなく、自主性や、より良くしていこうという想い、さらには、前職での経験やこれまでの人生を含めた「その人自身」のことを表現しているのだという。このチームの中では、社員であっても、パートであっても何も変わらない。自主性に合わせてどんどん任せていくことで、自然と一人ひとりが責任を持って取り組むという、チーム風土が生まれている。

愛着をみる

ランドセルは一般的な商品とは違って記念品としての意味合いが強く、6年間のアフター対応まで責任を持って提供する特殊な商品である。そして、ランドセルを購入する時というのは、豊富な色や種類の中から、こどもにとって人生ではじめて自分の相棒となる存在を決める瞬間である。そこには、お子さんの想い、そして親御さんやおじいちゃんおばあちゃん、さらには、ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんまで、世代を超えた家族の想いが込もっている。これだけの想いが込もっている商品だけに、お客様対応時は、ランドセルへの「愛着」をみて対応することを大事にしているという。

修理時、一般的な商品であれば、新品に交換してもらえることが良い場合が多いが、ランドセルの場合はそうとは限らない。カスタマーサポートの対応では、電話の声やメールの文面の中にある「愛着」をみるようにしていて、お子さんの相棒となったランドセルへの想いや大事にしているところに応えられるように、修理や交換をするところと、あえて残すところまでを判断して対応している。

また、修理後、ランドセルを発送する前には、カスタマーサポート部門が拭き上げを行っている。そこでも、ただ単に綺麗にするために拭くのではなく、汚れや傷一つひとつにまで気をつけて、あえて残す判断をすることもあり、家族の想いが宿ったランドセルへの愛着が消えないような対応を心がけている。

バックヤードへの感謝

この「愛着」に寄り添った対応は、修理だけでなく、検討中のお客様対応においても同様である。購入した商品や修理した商品をお届けすると、感謝のお便りが数多く届く。そこには、「ランドセルを作ってくれてありがとう」、「修理してくれてありがとう」というお礼だけでなく、購入や修理に至るプロセスにおいて、寄り添って対応してくれたバックヤードスタッフへの感謝がセットになっている。ネットであっても人の存在をしっかりと感じるショップであり、バックヤードの対応を通して自然とファンが生まれている。
バックヤードオフィスの隣が実店舗のため、たまに「キャッキャッ」というお子さんたちの声が聞こえるときがある。見えないお客様をイメージしながら対応している中、リアルを感じる瞬間だと森さんは言う。また、修理で届いたランドセルをチェックしているとき、肩ベルトの穴の位置が段階的にずれているのを見て、お子さんの成長を感じる瞬間もあるようだ。このようなお客様への愛着がチームの風土を作っている。

川端さん
電話対応では、「ワンコールで取ることを意識しています!」お客様のことを考えて、丁寧に、迅速に。決められているルールはなく、お客様に寄り添い、自主的に行っている。
奥田さん
修理後の最終工程は、カスタマーサポート部門による拭き上げ。「綺麗になると嬉しくなります!」
ここでも愛着を大事にしていて、汚れと傷をしっかり見て判断。綺麗にしすぎないことも重要。
辰巳さん
受注の確認では、「丁寧な対応を意識しています!」単に受注を処理しているのではなく、長く続く関係性のスタートとしての意識を持ち、一件一件丁寧に確認対応を行っている。
吉岡さん
修理の受付から出荷までは、「徹底的にチェックします!」同じ商品を発送する処理ではなく、お客様から預かった大事な相棒を届けるので、絶対に間違いが出ないように取り組んでいる。

工房 佐藤さん
修理依頼のランドセルが、カスタマーサポート部門を経て工房に届く。「指示書と一緒に、お客様から届いた手紙を入れてくれるんです!」カスタマーサポート部門がお客様一人ひとり異なる「愛着」までチェックしてくれているので、その温度感を感じながら、見落としが無いように修理を行っている。期待に応えられるように、早くお返しできるように、という想いは、工房も同じ。佐藤さんの「同じ修理は発生させない!」は、職人としてのプライドを感じる言葉だ。

相談

鞄工房山本では、ランドセルのショップだけではなく、革や帆布製の鞄・財布を販売するショップ「香久山鞄」を運営している。香久山鞄では、新作が出るたびに購入してくれるようなコアなファンが多く、電話対応では、梅原さんを指名した問い合わせが入ることもあるという。中には、「僕には何が似合いますか?」といった内容まであるようだ。この現象は「問い合わせ」というよりも「相談」である。コアなファンの範疇には、「商品」だけでなく「人」も含まれている。指名は、チームメンバー誰の対応においても起こっている現象だという。

自然と生まれる関係性

梅原さんに、なぜこのような現象が起きるのか、対応について聞いてみると、「対応にパターンはないです」という。例えば、実物を見て購入できないときには、迷っている二つの商品を並べた比較写真を撮って送ったり、色味の質問には、自然光の下で写真を撮って送ったりと、お客様の相談に対してできるだけギャップを作らないように個別に対応している。「フランクに相談に来られたら、フランクに相談に乗る」という感じで、お客様の目線とお客様ごとの細かいニュアンスに合わせて、細かい対応を積み重ねていると、自然と相談する友達のような関係になるという。お客様の数だけそれぞれの対応をしていて、マニュアルは一切存在しない。
梅原さんは相談に乗る際、「アドバイスはするけど決定権はお客様」というスタンスを大事にしている。ランドセルへの愛着が生まれることの原点にあるのは、自分で相棒を決めることがスタートであるが、これは香久山鞄でも同じである。

チーム風土の原点

また、相談のコミュニケーションは購入で終わりではなく、購入後も相談は続き、関係性は購入前よりもどんどん深くなっていくことが多いという。このような関係性が続いていく現象は、ランドセルも香久山鞄も同じであり、商品が違えど愛着を大事にするチームの風土、そしてカスタマーサポート部門メンバーそれぞれの自主性がこの現象を生み出している。

最後に、梅原さんにチームのことを聞くと、「このチームのメンバーがいるから、わたしは頑張れる」と迷いなく言い切った。森さんに対しても「頼もしいし、感謝しかない。私にとって、森は心のオアシスです」と言う。お客様の「愛着」を大事に、自主的により良くしようと取り組むカスタマーサポート部門には、メンバー同士がお互いを信頼し合い、感謝し合うことが根底にあり、これこそがチーム風土を作る原点であった。

RECOMMENDER'S VOICE

二事業のバックヤード業務を統合する難しい時期にありながら、丁寧な顧客対応とスキルアップとを両立してくれており、とても心強いです。カスタマーサポート部門のメンバーによる、お客様に寄り添うスタイルの顧客対応は、当社のブランドのファンを増やしていくための基盤です。今後も鞄工房山本の支柱のひとつとして、会社の成長に貢献してくれることを期待しています。

by 山本 一暢 ( 代表取締役社長 )

STORY

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こだわりの平飼い鶏卵「天美卵」を強みに、直売所とレストランなどの複合施設およびネットショップ「大江の郷自然牧場」のほか、宿泊施設「OOE VALLEY STAY」を経営する、有限会社ひよこカンパニー。  「日本の農業と地元をよりよくしたい」という想いがあり、25年前はゼロであった鳥取県大江周辺の観光客は、今では年間36万人以上に。自社で生産、加工、販売まで行い、「天美卵」は採卵当日に、安心安全の品質で全国に発送する出荷体制を作っている。この出荷を支えているのが受賞した「GPまごころ梱包チーム」だ。

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