倉庫のような姿をした大型店舗「BINGOYA SUPERSHOP」など、鳥取県を中心に6つの実店舗とEC店舗を展開する株式会社びんごや。創業から50年以上にわたり、セレクトショップを運営。時代と共に進化し、お客様と共に変化しながら、ファッションだけではなく、新しいライフスタイルや価値を提供し続けている。EC店舗「BINGOYA」のバックヤードを支える受注・出荷・お客様対応チームがアワードを受賞。
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商品愛
EC店舗の商品管理と出荷を担当している荻原さん。1979年入社でびんごや歴年の大ベテラン。ファッションが大好きで自然とこの道に入った。バイトからスタートし、各実店舗の立ち上げや店長を歴任、今のEC店舗で9店舗目のキャリアとなる。中でもビンテージジーンズを販売していた店舗「JEAN KELLY」時代は思い入れが強く、そのときのジーンズは今も現役で履いている。ビンテージのアロハシャツも好きで数多く所有。傷まないように年一回は袖を通すほど洋服への愛は強く、それは商品愛にもつながっている。問い合わせ担当の照井さんは「商品の問い合わせで困ることがあっても、荻原さんに聞けば必ず解決するので、居ない日は不安になる」と言うぐらい、ブランドのこと、生地や糸、縫製のこと、エイジングのことまで商品知識が豊富である。
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びんごやイズム
「今日はどんなお客さんが来るかなとワクワクしていたし、新しい商品との出会いにもワクワクしていた」と荻原さん。自分が選んだ商品を、お客様に「これいいね!」と言われることや、商品についてのこだわりを語れることが嬉しく、45年のキャリアで「これまで、朝起きて、行くの嫌だな、と思うことは一度もなかった」と言う。「自分のファッションは当時から変わらないが、新しい商品やカラーなど変わっていくものを見るのは面白い」と今も時代と共にファッションを楽しんでいる。
当時は、ラスベガスで行われる展示会などにも買い付けに行っていた。「先を見すぎるとお客様がわからなくなる現象も起こるので、常に半歩先ぐらいを見て、お客様を置いていかないことを大事にしていた」と言う。50年にわたり、「びんごやが選ぶ商品は間違いない」と信頼を得ているのは、自分たちもファッションを楽しみ、お客様と一緒に歩んでいくという「びんごやイズム」を貫いてきた結果なのだろう。
お客様の気持ちを考える
荻原さんの日々の業務の流れは、3階のオフィスで、受注担当の照井さんから当日分の出荷リストを受け取り、1階の出荷場へ移動。商品のピッキングを行い、出荷台で検品と梱包を行う。検品では、シワがあればアイロンもかける。お客様が自分であれば気にすると思うところは、手間をかけてでも必ず解決するようにしている。梱包も、届いたときのお客様の気持ちを考えて丁寧に行い、シューズの箱も商品と捉え、傷がつかないように箱自体にも梱包するほどである。洋服やシューズを好きなお客様を実店舗で見てきた荻原さんの商品愛を感じる梱包となっている。
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実店舗で培った創意工夫
出荷台には、梱包時に間違いが生まれないように、資材や道具が考えて配置されていて、出荷台の板を外すと下からアイロン台が登場するなど、すぐ使える最適な配置となるように工夫して作られている。また、在庫の棚は、実店舗の什器をそのまま使っていたり、段ボールを使った棚や商品札も荻原さんが自作することで、シンプルにわかりやすく、また、第三者が見てもわかる空間を創っている。まさにこれらは実店舗で培ってきたものであり、荻原さんの創意工夫が、EC店舗のバックヤードの場所全体に反映されている。
EC店舗と実店舗に境目はない
また、荻原さんは、「同じ商品を2つ購入してるので、双子なのかなとか想像しながら梱包してます」と、どんな注文が来てるかを見ることで、その先にいる人までイメージしながら出荷作業を行なっているという。
荻原さんにとって、EC店舗も実店舗もお客様との距離感に違いはなく、全く変わらないようだ。実店舗での勤務歴が年以上になると、EC店舗との境目を意識して、あえてどちらの接客も一緒にしているというよりも、お客様に対して自然体で接客することでEC店舗、実店舗という境目自体がなくなっている。この接客対応の感覚こそが、びんごやイズムにつながっていて、業務を外注に出すことができない理由である。
メッセージに宿るびんごやの想い
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EC店舗の受注とお客様対応を担当している照井さんも、実店舗23年と、荻原さんと同様、実店舗のキャリアが長く、EC店舗も含めると、びんごや歴29年の大ベテランだ。在庫が倉庫になく、実店舗にある場合は荻原さんが実店舗に走って出荷に間に合わせたり、と何も言わずともベテラン同士のコンビネーションでお客様の期待に応え、日々のEC店舗運営を支え合っている。
「EC店舗の立ち上げ時からメッセージカードは手書きで必ずつけています」
照井さんが手書きしているメッセージを見せてもらうと、「またのご来店を心よりお待ちしております」と丁寧な文字で書かれていた。EC店舗であっても、実店舗で買ったときのような気持ちになってもらいたいと、実店舗で伝えていたメッセージをそのまま入れているという。
注文件数が増えてきた今も、コピーではなく、必ずスタッフの手書きで行っている。効率面をとらず、ここは残したいと、あえて継続しているところに、びんごやがこれまで大事にしてきた想いがこもっている。
できる限りの寄り添い
「せっかく来店してもらえるのだから、できる限り寄り添いたい」
この照井さんの想いは、自身の接客によって、いい商品を見つけて笑顔で帰ってもらったときに「おすすめしてよかったな」と感じたことや、同じ方が何回も来てくれるようになったことなど、実店舗での体験が原点にある。この「寄り添いたい想い」は、EC店舗でも同じだという。発送した後でも、手元に届くまでに何かあれば、配送の営業所まで走り、たとえ運送会社を止めてでも、できることはやりたいと思っている。商品のシワや糸の始末など、常に「自分だったら」と考え、気になることはそのままにしない対応をEC店舗でも変わらず行っている。
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EC店舗にしかない体験
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EC店舗での対応では、対面で接客できる実店舗と違い、文面だけで判断する必要があるため、わからない場面も出てくる。そんな時でも、照井さんは諦めず、実店舗のお客様をイメージしながら、ほんの少しのニュアンスから温度感を感じ取り、寄り添った対応を行なってきた。すると、お客様から嬉しいメッセージをもらったり、本来マイナスの出来事である返品でさえ、メッセージカードが一緒に添えられていたりと、照井さんの対応への感謝が形となって返ってきている。
「会ったことがない人からお礼を言われることって、すごくないですか!」
冷静な照井さんが興奮して伝えてくれるこの体験こそ、唯一EC店舗にしかない体験である。
阿吽の呼吸
「お客様の声に支えられているんです」寄り添うこと、声をもらうこと、という循環こそが自分の仕事を支える原動力になっているという。
にもかかわらず、「実は、寄り添いは気づかれなくても良くて、むしろ、その方が良いと思ってます」と照井さんは言い切る。矛盾するようだが、気づかれないぐらいまでお客様のことを想い、自分だったらと対応する姿勢こそが究極の寄り添いを生み出している。
お二人の話を聞いてわかったことは、びんごやイズムとは、決まった形のものではなく、それぞれがお客様に寄り添い、自分事として捉え、自分の意思で判断して対応することであり、この積み重ねから生まれている風土である。
びんごやイズムは、表面的なものではなく、それぞれの心の中にあるものなのだろう。
最後にお互いのことを聞くと、荻原さんは「100点!照井さんには全てを任せることができる!」、照井さんは「荻原さん、いてくださってありがとうございます!」と言う。
お互いの存在に対する信頼と感謝が、阿吽の呼吸による境目のないコンビネーションを生んでいる。
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RECOMMENDER'S VOICE
受賞おめでとうございます ! いつもお客様に寄り添った対応が「神対応」と称されるほど丁寧で迅速であることに、心から感謝申し上げます。お客様のお困りごとをしっかり受け止め、安心してお買い物ができるのは、まさにバックヤードの支えがあってこそです。豊富な現場経験を活かし、地域に寄り添い、思わず実店舗へ訪れたくなるような気持ち良い買物を提供してください。大先輩おぎちゃんと共に、更なる高みを目指しましょう。